EXODUS★栄光への脱出

EXOTICSが、プロデューサーに沢田研二氏を迎えてはじめてアルバムを制作した時のインタビューをご紹介します



【おそすぎたデビュー】

─ エキゾティクスとしてアルバムを作った気分は?

吉田:自分たちが看板になった気分?あんまり変わんないけど。・・・変わんないんじゃないの?
安田:まあ、これを作ったからゆうて、いちやく主役になったわけちゃうから。
吉田:特別売れたとか、そういうのじゃないから。
柴山:なにがしかのヒットとかね・・・。
吉田:そうなったら別だけどね。態度がヒョーヘンするけどね。こんなコーヒー・ルームじゃ許さないよ。
(一同爆笑)

─ 今回のアルバムはどういうイキサツで作ることになったんですか?

吉田:去年ぐらいから、いろんなレコード会社からオファーがあったんだけど、暗礁にのりあげたりして。
西平:まとまった時間が取れなかった、ってのもあるね。
吉田:たまたまジュリーさんが、8月に映画を撮るので、いつもツアーをやっているんだけど、1カ月あいてたってことと、それから、どうせだったら、ジュリー・レーベルから出すのが一番スマートではないだろうか、という話に落ちつきまして。で、ジュリーさんに制作者になってもらって、いっきにやってしまった。

─ エキゾティクスというのは、そもそも沢田研二のバック・バンドとしてできあがったバンドでしょ。そういうバンドがアルバムを作るっていうのは、なかなか難しいんではないかな、と思うんですが。

吉田:ザ・バンドとディランみたいに、もともとバンドがあって、それでバックアップするようになったわけじゃないからね。だから、もともとのオリジナル・サウンドはなかったわけだし、みんな、いろんな要素をもってるからね。例えば、リヴァプール・サウンドみたいなものの好きな部分もあれば、ニューウェイヴも好きな部分だっていっぱいあるでしょ。エキゾティクスに自分が参加しているときに、その対応のしかたは、こういうのがいいんじゃないか、みたいなのがあったりする。
安田:みんな、ストレートに出してるとも思えないし、けっこうフィルター通ってる。要するに、エキゾティクスというバンドのカラー、というほどオオゲサなもんでもないけど、あくまで一定のイメージを基調にしてやりたいことをやってる。
西平:とりあえずはじめてだからね、エキゾティクスとして音を出す作業は。だから、音楽性云々というよりは、それぞれが持ってたイメージを・・・。
吉田:そうだね。自分のなかにあるエキゾティクスのイメージだよね。

─ 実際かなりいろんなスタイルがストレートに出ているでしょ。

(一同爆笑)

柴山:いい言い方だね。

─ おいしい部分だけパクるのとは、わけが違うんだから、ある種のトリックみたいなものがあるわけでしょ。

安田:ミーハーぽくするという・・・。
吉田:ぼくら、みんな嫌いじゃないからね、ミーハーぽいの。それでいいっていうのがあるね。
西平:というか、そのへんでは一致をみていたわけです。エキゾティクスに対するイメージはいろいろあるけども、そういう軽さという点では、みんな認識が一緒だったという部分はあるかもしれないね。
吉田:よく、カッコイイとか、ミーハー的に言うでしょ。で、エキゾティクスってのはアンダーな色気というのはないと思うし、そういうのは、やっぱりサウンドにしても避けようとかね、あんまりマニアックなのはよそうとかね。





【ガキ・ポップスとラジオ】

─ 最近のブリティッシュ・ポップスの動向については、どう思います?

吉田:やっぱり一口にはとらえられないと思うよ。例えば、カジャ・グーグーとかブルーズーとかね、そういったのとさ、例えばXTとかさ、同じロンドン・シーンとしてとらえることはできない。

─ カジャ・グーグーとかカルチャー・クラブとかの‘やつあたりポップス’について・・・。

吉田:あれも、次元的にはほとんど歌謡曲と変わんないと思う。

─ 大雑把に言ってしまうと、重さよりも軽さだとか。

上原:でも、軽いことやってても、やっぱりヨーロッパとかイギリスの歴史みたいなものを感じるから、だから面白いんじゃないのかなぁ。
安田:バカ明るくないもんね、軽くたって。ハッチャキにやればやるほど、気狂いじみてたりするじゃない?‘ガキ・ポップス’でもさ。
吉田:ヒットしたものってね、音楽的にどうこうってのはよくわからないけど、良くできていると思うのね、なんか。
安田:でも、音楽ってもののありがたみは、どんどん薄くなってゆくと思うけどね。ヒーローが生まれたころは、音楽って重いもんやと思ってたやん?

─ ある意味では、本来の役割に戻りつつあるんじゃないか、と思うんですけども。

吉田:ラジオで流れてれば、それでいいって感じしない?だって、もともと俺が最初にポップス聴きはじめたときってそうだったもん。音楽的な意味とか、そんなのなかったじゃない、あのころは。
柴山:どんどん新しいグループが出てくるんだけど、時代の申し子みたいな、ヒーローを生み出す作業をずっと続けてるんだと思うんだよね。そういうのを待ちこがれている感じはあるよね。





続きます・・・